THE NASTY BITS ~はみだしシェフの世界やけっぱち放浪記~
シェフのクリスマス
投稿日時:2011/12/12(月) 13:36
前回のブログではニューヨークの秋の様子をお伝えしました。11月第4木曜日の感謝祭の日にあちこちで行われるパレードでは、取りとしてサンタクロースが登場し、クリスマスシーズンの到来を告げます。その翌日から、街はクリスマス一色に模様替えです。
特にこの時期のニューヨークは一見の価値があります。ロックフェラーセンターの華やかなクリスマスツリー、500個以上の折り紙のオーナメントで飾られたアメリカ自然史博物館のツリー、リンカーンセンターのシックなツリー、そしてバーグドルフ・グッドマンやバーニーズ、メイシーズなど、有名百貨店が毎年ディスプレイでその個性を競い合う「ホリデー・ウィンドウ」など、街中が見せてくれる装いに見所は尽きません。午後5時頃には日が暮れて徐々にライティングされ、冷たく澄んだ空気を通して見るその光は輝きがいっそう引き立つように感じます。クリスマスシーズンにニューヨークを訪れる機会のある方は、どうか寒さに負けず、この街の雰囲気をゆっくり楽しんでいただきたいと思います。
さて、話は変わりますが、『the Nasty Bits』の翻訳で私が担当させていただいた章の一つが、唯一フィクションである『小説 シェフのクリスマス』でした。原作を読んで面白いと思い自ら希望しての担当でしたが、実際に作業に入ってみると、完訳にたどり着くまで一番悩んだのがこの『シェフのクリスマス』でした。他の章はノンフィクションなので、根気よく調べれば、時間がかかっても裏付けをとることができます。ところが、小説となると著者の想像から生まれているので、どうすればその想像に近づけるかという問題になってくるわけです。ただ、元シェフがレストラン業界を舞台に書いた小説なので、当然、大半が経験に基づいた事実を脚色したものと思われます(実名で登場している店もあります)。そこで、やはり調べ物に時間を費やすわけですが、他の章と違って、実名でないものを検索しても情報は得られません。舞台となったクリスマスシーズンのニューヨークの様子については容易に想像できましたが、小説後半でシェフが次々に料理を作る箇所などは特に苦労しました。著者が頭の中に描いた具体的な料理やそれを作る手順などを適切に表す言葉探しにあの手この手です。料理の専門用語を調べるのはもちろんのこと、他の章で著者が絶賛しているシェフの料理も参考にして、なんとか自分なりに納得のいく訳にたどり着きました。
最終的な正解が得られないのが翻訳で、自分がどう解釈するかによってその表現は違ってきます。今、私はバベル翻訳大学院の修了作品の仕上げに取り組んでいます。自分なりの確信を持って訳してはいるけれど、それが独りよがりではないか、と日々問い続けながら推敲を続けています。
特にこの時期のニューヨークは一見の価値があります。ロックフェラーセンターの華やかなクリスマスツリー、500個以上の折り紙のオーナメントで飾られたアメリカ自然史博物館のツリー、リンカーンセンターのシックなツリー、そしてバーグドルフ・グッドマンやバーニーズ、メイシーズなど、有名百貨店が毎年ディスプレイでその個性を競い合う「ホリデー・ウィンドウ」など、街中が見せてくれる装いに見所は尽きません。午後5時頃には日が暮れて徐々にライティングされ、冷たく澄んだ空気を通して見るその光は輝きがいっそう引き立つように感じます。クリスマスシーズンにニューヨークを訪れる機会のある方は、どうか寒さに負けず、この街の雰囲気をゆっくり楽しんでいただきたいと思います。
ロックフェラーセンター | Cartier | FENDI | ||
先月5番街に開店した ユニクロ |
巨大なオーナメント |
さて、話は変わりますが、『the Nasty Bits』の翻訳で私が担当させていただいた章の一つが、唯一フィクションである『小説 シェフのクリスマス』でした。原作を読んで面白いと思い自ら希望しての担当でしたが、実際に作業に入ってみると、完訳にたどり着くまで一番悩んだのがこの『シェフのクリスマス』でした。他の章はノンフィクションなので、根気よく調べれば、時間がかかっても裏付けをとることができます。ところが、小説となると著者の想像から生まれているので、どうすればその想像に近づけるかという問題になってくるわけです。ただ、元シェフがレストラン業界を舞台に書いた小説なので、当然、大半が経験に基づいた事実を脚色したものと思われます(実名で登場している店もあります)。そこで、やはり調べ物に時間を費やすわけですが、他の章と違って、実名でないものを検索しても情報は得られません。舞台となったクリスマスシーズンのニューヨークの様子については容易に想像できましたが、小説後半でシェフが次々に料理を作る箇所などは特に苦労しました。著者が頭の中に描いた具体的な料理やそれを作る手順などを適切に表す言葉探しにあの手この手です。料理の専門用語を調べるのはもちろんのこと、他の章で著者が絶賛しているシェフの料理も参考にして、なんとか自分なりに納得のいく訳にたどり着きました。
最終的な正解が得られないのが翻訳で、自分がどう解釈するかによってその表現は違ってきます。今、私はバベル翻訳大学院の修了作品の仕上げに取り組んでいます。自分なりの確信を持って訳してはいるけれど、それが独りよがりではないか、と日々問い続けながら推敲を続けています。
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